分かりやすい具体的な例があるのがいいかなぁと・・・・全体一部のみ抜粋)

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ひろゆきが“日本の未来”を憂う理由――「他人は変えられない」

 

――フランスで暮らすひろゆきさんとしては『日本はあまりいい国ではない』という認識なんでしょうか。

 いやいや、治安もいいし、ご飯もおいしいし、個人でこの国の中でうまく立ち回れるのであれば、そんなに問題のない国だと思いますよ。でも、この国に生きるみんなが楽しく暮らすためには、国のシステムとして、どうにかしなければいけないところが多すぎるんです。でも、それをすぐ変えられる仕組みにすらなっていない。

――変えられる仕組みでもないというのはどういうことでしょうか?

 山本太郎さんのような変革の意思を持った政治家がひとりいても、法案を作って可決させるには、国会の過半数を押さえないといけないですよね。高齢者に支持される政治家が多数派を占めるという現状は変わりようがないので、仕組みの時点でもう変革は望めないんです。

●“海外市場を見据える”必要性はあるのか!?

――経済的な展望はいかがでしょうか? さかんに「海外市場を見据えろ」という人もいますよね。

 個人の給料が上がるかどうかって、売り上げじゃなくて利益率で決まるんです。だからむやみに海外戦略など立てなくても、国内だけでも利益率を高くできれば給料は上がると思います。日本の人口って1億人いるので、良くも悪くも、国内向けに事業をしていれば、それなりな規模になっちゃうんですよね。

――そうすると、海外を向かなくなっちゃうんですかね。

 韓国は5000万人くらいなので、国内向けだけだと成立しないから海外に向けて作ろうという発想になってくるんですよね。例えば、韓国映画は海外でも通用していますよね。でも日本だと“AKBが主演”とかで国内でもそれなりの人数が見てくれる。そうすると、海外の人は誰も見ないような作品でもビジネスとして成立してしまうんですよね。

――映画のようなコンテンツ以外でも、内を向きすぎるのはまずいことなのでしょうか。

 例えば、発泡酒って社会にとって無駄なものですよね。あれ、日本の独自基準に合わせるためにマズイものをわざと作っているじゃないですか。麦を使わないと税金が安くなるという日本の条件に合わせて作られた、ただのマズイ酒ですよね。『消費者は安いから飲むでしょう?』という、ナメたもくろみで内向きに作られていて、『世界に向けておいしいビールを作りましょう』という発想とは無縁のところにある。

 あれを作り続けても技術が進歩するわけじゃないし、無駄な時間を費やしているなあと思ってみていますね。

――確かに内向きすぎるとそういう弊害が生まれますね。とはいえ、日本で生き抜ければそれでいいという考えなのでしょうか。

 ええ、僕自身が海外にいて言うのもなんですが、無理に海外に出ていく必要はないと思っていますよ。海外を全く知らなくても、日本の文化圏の中で、微妙な差を嗅ぎ取って、そこでマーケティングセンスを発揮して日本人からお金をとって暮らす。それでも売上規模としてはそれなりになりますから、この先30〜40年は暮らせると思います。(了)

(文化系WEBマガジン『チェリー』編集長 霜田明寛)